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Date:  Fri, 3 Sep 1999 10:55:01 +0900
From:  iwasaki toshiki <iwasaki@wind.geophys.tohoku.ac.jp>
Subject:  [game-jp:0088] ワークショップ 「次世代非静力学モデルの開発について」のご案内
To:  game-jp@ihas.nagoya-u.ac.jp
Message-Id:  <199909030154.AA00145@kisho7.wind.geophys.tohoku.ac.jp>
X-Mail-Count: 00088



非静力学モデル開発の技術情報交換のため、以下のようなワークショップを
開催します。講演者は既に依頼済みですが、議論参加は自由ですので、非静
力学モデル開発に関心のある方は是非ご参集ください。

ワークショップ 「次世代非静力学モデルの開発について」
9月29日 9.30−17.30
場所CCSR(東京大学気候システムセンター)

第I部 報告  9.30-12.10  昼休み 14.00-15.20

1. 趣旨説明  木村富士夫(筑波大)
2. 気象研究所モデルの概要 斉藤和雄(気象研)
3. 予報モデルの開発(特に時間積分法、初期値化、分散処理) 室井ちあし(気象庁)
4. 曲線座標の利用可能性 里村雄彦(京都大)
5. フロンティアでの非静力学モデル開発 松野太郎(地球フロンティア)
6. common framework model のありかた(NJRの経験から)  山岸 米二郎
                         (高度情報科学技術研究機構)
(各講演とも講演時間30分以下+議論10分)

第II部 議論  15.30-17.30

1.モデルの基本コンセプト
2.力学フレーム
3. これからの開発のあり方


趣旨(木村富士男)

(1)共用メソスケールモデルシステム構築の提案

 高性能で使いやすい非静力学モデルを開発する。可能な限り共同開発を模索すると
ともに、ソースは公開を原則しとし、利用に関しても出きるだけ制限を設けない。

(2)共用メソスケールモデルの必要性

 気象現象の理解と予測のために数値モデルの利用がますます重要になっています。
とくに、将来より精密なメソスケール研究を展開するための研究基盤として、高性能
で使いやすい非静力学数値モデルを整備する必要があります。
 一方、モデルは高精度化に伴い、その開発には様々な分野の専門家が分業協力する
ことが不可欠になっています。日本の場合、研究者が多くの組織に分散し、それぞれ
の組織の構成員が少ないため、高性能のモデル開発の障害になっています。組織の枠
を超えて協力する事が不可欠になっています。また、モデルの性能向上のためには多
くの利用者によって検証される必要があります。その意味で、さまざまな研究に利用
して問題点を抽出し、モデル開発に結びつける事が重要であり、利用者の数を確保す
るとともに、その距離を縮める必要があります。

 例えば、GAMEでは数値モデルに関連する成果は得られつつあるものの,海外のメソ
モデルの利用によるものが多いため,その成果は,モデルそのものの改良や日本のモ
デル開発能力の向上には必ずしも直結しません.我が国にも優れたメソモデルはいく
つか存在しますが,ユーザーのコミニティが小さく,その結果としRAMSやMM5にくらべ
物理過程など組入れがやや遅れいてるようにも思われます.モデルの開発能力は様々
な形で気象学全般の研究能力にも反映されるので,一般論としてモデルを開発した研
究グループと,それを使わさせてもらう研究グループとの間の研究能力の格差は無視
できないものがあります.

 これらの問題を解消するには,海外の優れた数値モデルを利用して研究する一方で,
我が国の研究者およびGAMEなどの国際共同研究に参加しているすべての研究者が自由
に利用できる独自の共用メソモデルを整備することが必要であると思います.その場
合,コミニティの大きさがモデルの発展に深く関係することは明白ですから,モデル
の利用にはできる限り制限を設けないことが重要と考えます.


(3)望ましいメソモデル

 現在の数値モデルは,基礎方程式に基づく力学過程よりも,様々なアルゴリズムに
基づく物理過程の扱い方によって基本的な精度と能力が大きく左右されます.このた
め基礎方程式やその解法,格子点の配置などのモデルの中核的スキームの重要性は相
対的には低下してきているとも考えることもできます.しかし物理過程は大幅な改良
や新たなアルゴリズムとの置き換えが簡単にできることが多いのに対し,中核スキー
ムの大幅変更は,様々な制約から簡単にはできません.このため新しく開発あるいは
選定するモデルの中核スキームは長期間にわたって使えることができる,即ちある程
度未来を見越したスキームであることが望まれます.具体的には第三者からみて今後
20年間くらいは陳腐化しないと信じることができるようなスキームであれば,安心
してモデルのコミニティに加わってもらえると期待できます.コミニティが大きくな
れば互いの努力と協力で次第に物理過程が充実してくるものと期待したいと思いま
す.
 もちろん、力学フレームといえども改訂を重ねるべきであり、力学を改訂してもす
ぐに物理が使えるように、物理のパッケージ化をすすめるべきだ、と考えています。


事務局&連絡先 岩崎俊樹(東北大)

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Toshiki Iwasaki  iwasaki@wind.geophys.tohoku.ac.jp
Geophysical Institute, Graduate School of Science
Tohoku University
Aramaki, Aobaku, Sendai, 980-8578
tel:+81-22-217-5779   fax:+81-22-217-7758
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