平成 22年度 名古屋大学地球水循環研究センター
共同研究公募要項
[センター計画研究, (マルチパラメーターレーダ), (沖縄),(植生-気候相互作用)]
[集会/機器利用][申請方法 /締切][別紙 (word)/(pdf)][利用機器][教員]

「地球上の水循環システムの構造と変動に関する総合的な研究」に関する
共同研究を下記のとおり公募します。


1 共同研究の種別
 計画研究の種別は次の通りです。

(1) センター計画研究
 
本センターでは、分野を超えたセンター教員の研究チームによるセンター計画研究として次の3課題を策定しました。これらに参加する共同研究課題を募集します。


 研究課題名: 「偏波レーダの高度利用とそれによる雲、降水、大気水循環研究(新規・対応教員:上田博・坪木和久・篠田太郎

 
地球水循環研究センターでは、雲・降水システムの反射強度・速度だけでなく内部の粒子の情報を得ることが可能な偏波レーダを導入し、これまでに様々な観測を行い、多様な観測パラメータの情報を利用する方法の開発を行ってきました。これらの観測データは、雲・降水システムと大気水循環研究において、新たな知見をもたらすことが期待されます。一方、雲解像モデルの開発が、当センターのこれまでの共同研究などで行われてきており、雲・降水システムの精度の高いシミュレーションが可能となってきています。そこで本研究課題では、偏波レーダの様々な観測パラメータの高度利用を実施し、雲解像モデルの利用により、雲・降水システムと大気水循環に関する共同研究を行います。本研究課題は前期3年、後期3年の6年計画とし、前期終了時に計画の見直しを行う予定です。初年度に当たる今年度は、当センターの偏波レーダのデータと雲解像モデルを用いた研究を公募します。この共同研究では、すでに観測されたデータを当センターの教員と調整して利用するものや、偏波レーダを利用して観測を行うものとします。偏波レーダを利用して観測を行う場合には、1年以上の計画を経た上で、原則として、当センターの教員と共同で観測を実施するものとします。雲解像モデルの利用に当たっては、モデルのみの利用とともに、偏波レーダと組み合わせた利用の両方について、皆様からの積極的な参加をお待ちします。


研究課題名:沖縄の気象・気候・海象の観測的研究 (継続・対応教員:中村健治・石坂 丞二・森本昭彦)

 沖縄域は梅雨期の下層ジェットなどに見られるように南西からの水蒸気輸送経路にあたっています。また毎年数個の台風が直撃しているように、顕著な水循環を示す地域となっています。海については、沖縄域は黒潮流路にあたっており、黒潮の細かい変動と衛星観測からの広域の変動との対比がなされてきています。
 当センターでは、平成17年度から「沖縄亜熱帯域における雲・降水システムと大気境界層、海洋表層の観測的研究」として、独立行政法人・情報通信研究機構沖縄亜熱帯計測センター(NICT沖縄)との連携を軸として共同研究を行ってきました。これまでにNICT沖縄の施設を利用した多くの報告がなされ、研究の可能性、観測の限界などが明らかになってきました。NICT沖縄では定常観測が行われており、事例研究とともに気候学的研究も行うことにより、本領域の水循環の実態解明が可能であることが分かってきました。またデータベースの構築やNICT沖縄と当センターとの間の高速データ回線の設置もなされています。さらに平成22年度には、独立行政法人・宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星検証事前実験もNICT沖縄で行われる予定です。
 平成22年度の公募では、これまでの研究体制を拡充し、沖縄域の気象・気候・海象の実態解明を目指した研究を継続します。本研究課題は当センターが重視する南西諸島域における水循環研究の一部として位置づけられます。以下に、共同研究として応募する場合の具体的な課題例を示します。

・ 長期観測データによる沖縄域の気象と気候
・ 台風データベース構築と台風研究
・ 将来の衛星からの降雨観測手法開発のための観測実験またデータベース構築
・ 沖縄域の黒潮蛇行と総観規模大気擾乱との関係解明
・ 複数測器の高度利用法の検討

 なお、平成22年度は本研究課題の3年目としての総括を行う予定です。本研究課題に申請する際には、これまでの研究のまとめや問題点の抽出、そして今後の研究の方向も踏まえてご応募頂ければ幸いです。


研究課題名:水循環と物質循環を介した植生-気候相互作用の研究」 (継続・対応教員:安成哲三・藤波初木・三野義尚)

 水循環を介した気候と植生との非線形な動的平衡系の問題は、気候学、気象学、水文学に加え、森林科学や生態学も含めた新しい学際研究で進める必要があります。本研究課題では、これらの分野における研究成果と問題提起を踏まえ、植生-気候間の動的平衡系(相互作用系)が、どのような維持・変動の特性を持ち、ひいては気候システム全体の維持・変動にどう関わっているのかを、重要な役割をしている水循環過程に着目しながら解明していきます。具体的には、以下の3点に着目し、国内の関連研究者とともに議論を進めます。

・ プロットスケールから大陸スケールにおける水・エネルギー・物質収支の研究
・ 気候モデルを用いた植生-気候間の相互作用に関わる数値実験的研究

 本研究課題で対象とする研究領域は、地球上でも最も広大で、かつ多様な生物相を有するユーラシア、モンスーンアジア、海洋大陸です。また対象とする時間スケールは、日変化、季節内変動、季節変化、経年変動です。これらの領域と時間スケールにおける植生-気候間の相互作用系の維持・変動機構を解明することを目指し、議論します。
 平成22年度には、このテーマに特に密接に関連するWCRP/GEWEX/MAHASRI、IGBP/iLEAPS、ESSP/MAIRSなどに関連した研究課題を期待します。以上の趣旨に賛同される国内の研究者の積極的な参加をお待ちします。



(2) 研究集会
地球水循環システムの構造と変動に関する研究の成果発表、又は研究企画・立案のために本センターで開催する研究集会を募集します。
(3) 機器利用
当センターで保有する共同利用機器の利用の申し込みを募集します。(別表参照 word/pdf
なお、機器利用に関しては、他の利用がなければ随時受け付けますので、所定の申請書(別紙様式3 word/pdf)を用いて申請して下さい。

2 申請者の資格
大学及び公共的研究機関の研究者又はこれに準ずる研究者でセンター長が適当と認めたもの。

3 申請方法
申請研究代表者は(当センターに所属されない方は、当センターの対応教員を決めた上で)所定の申請書(別紙様式1 word/pdf)1通をセンター長宛に郵送するとともに、e-mailによりkyodo@hyarc.nagoya-u.ac.jpまで送付ください。

4 共同研究期間
採択日から平成23年3月15日までの期間、なお機器利用については別途協議します。

5 採否の決定
共同研究の採否は、当センターの共同利用委員会で審査し、運営委員会の議を経てセンター長が決定し、その結果を研究代表者に通知します。

6 所要経費
共同研究に必要な研究経費については、予算の範囲内で対応教員に対する配分額を決めます。なお、詳細については、当センターの対応教員にお問い合わせください。また、共同利用機器については、運搬経費と保険料をご負担願います。

7 共同研究の成果報告
研究代表者は、平成23年3月31日までに「共同研究報告書」(別紙様式2 word/pdf)1通を当センター研究協力事務室に提出してください。 なお、共同研究の成果を学術論文又は報告書として発表した場合は、当センターとの共同研究であることを明記し、(下記の総称、各呼称、英文論文の謝辞文(例)を参照してください)、その別刷り又はコピー一部を当センター研究協力事務室に提出してください。

(総称)
HyARC 共同研究:HyARC Collaborative Research Programme

(各呼称)
HyARC 計画研究:research project(s)
HyARC 研究集会:workshop(s)
HyARC 機器利用:instrument service(s)

(英文論文の謝辞文(例))
This study was (partly) supported by the HyARC Collaborative Research Programme, Nagoya University.

8 申請書提出の締切
  共同研究・研究集会 平成22年4月8日(木)
  共同利用機器     随時受付

9 申請書の提出及び問い合わせ先
共同研究・研究集会・共同利用機器:

〒464−8601 名古屋市千種区不老町
名古屋大学地球水循環センター研究協力事務室
電話:052-789-3466(ダイヤルイン)、 FAX:052-789-3436