GAME-AAN、地表面観測 第2回のミーティング議事録
昨年10月に行われた「GAME-AAN、地表面フラックス観測合同Meeting」に続き、第2回のミーティング
が以下の要領で行われた.
[日程] 10月2日、9:00-17:30
[場所] 筑波大学加速器センター3F会議室(行き方は下参照)
[内容] 各地域で始まった予備観測、機材設置を受けて、地域ごとの測定状況の把握、
GAME全体としての観測内容、時期、プロダクト、データ配布などの問題を詰めていくため
の議論を行う.
[プログラムと内容]
I. 各班の報告
- シベリア:シベリア地域のAANとAAN計画についてのコメント by 大畑哲夫(滋賀県立大)
シベリア地域の観測の概要の紹介.
バイオマスを縦軸に、
降水量を横軸に取ると現在運用
を開始したタイガとツンドラは縦に並ぶ.
将来観測を計画している山岳タイガが入ると、右上
の点が現れる.
AAN計画としての研究課題を持つのか、
それともデータセット構築までなのかの問題提議.
- シベリア:スパースカヤ・パッドの観測.
タイガ帯における1996年9月からのデータ取得状況と1997年8
月からの観測体制 by 太田岳史(岩手大農)
97年8月より32mタワーにセットされたACOSシステムのセンサー等を用いた観測開始.
顕
熱の直接測定は通年、潜熱の方は暖候期のみ.
項目は、乱流フラックス、水文・気象要素
の鉛直プロファイル、植物生理(樹液流速、幹直径).
低温下での霜の付着、夏の雷が問題.
- シベリア:ティクシの観測 by 児玉裕二(北大低温)
ACOS system が設置され、温湿度、風速プロファイル、放射、土壌水分・地温等の連続測
定が開始された.
予算面の制約によるスペアセンサーの用意が無いことが問題.
- HUBEX:フラックス移動観測 by 田中賢治・中村忠則(京大工)
HUBEXでの水田、桑畑、森林、水体を対象にした移動フラックス観測の97年夏の実施報
告.
各地点でボーエン比法によるフラックス、超音波による顕熱は無事取れたが、赤外線湿
度計による潜熱は値がおかしい.
IOP期間中、春、夏、秋、冬各1回同様の移動観測を実施
予定.
AAN としてのPAMの設置予定場所の紹介.
水田地帯であるが、設置するのは寿県
気象局の草地になる.
要検討.
洪水対策にマストなどの嵩上げ.
- チベット:概況 by 小池俊雄(長岡技科大)
チベット東側 (31-33N, 91E-92.5E)に展開されたチベットでのステーション、観測の概要紹
介
- チベット:土壌水分 by 小池俊雄(長岡技科大)
チベットでの夏の土壌水分+分光放射測定(水平分布)とこの夏に設置したTDRセンサー
による長期モニターの紹介.
TDRデータの日変化がなぜでるのか?
- チベット:雨量計 by 上野健一(滋賀県立大)
チベットで7地点に雨量計が設置.
内4点が同じくこの夏に設置されたレーダーの観測圏内.
- チベット:HEIFE-AWS, PBL tower by 石川裕彦(京大)
発電器により運用されるPBLタワーの設置が一部センサーを除きアムドに設置完了.
HEIFEで使っていたAWSがトトホ、アムドなど4地点に設置され長期運用開始.
- チベット:EDDY CORRELATION by 石川裕彦(京大)・塚本 修(岡山大)
Kaijo DA-300, AH-300による乱流計測システムの紹介.
- チベット:PAM by 塚本 修(岡山大)
アムドでの予備観測時のPAM dataと乱流計測システムの結果の比較.
放射、風速計、温度、
表面温度等の観測結果.問題点(バンドパスコバリアンスのアルゴリズムのバグ、風速・風向
センサーのデータ異常など).
PAMの一部は来年度の観測に向け、NCARに返送・調整.
- チベット:測器比較観測 by 林 泰一(京大)
中国河北省定興固城国家気象局農業気象試験基地で8/22-8/26もあで5参加期間の測
器の比較観測.
オーガナイズが良くされてないことが問題.
参加機関(者、PI)の間の事前
の打ち合わせが重要.
- GAME-T:概況 by 鈴木雅一(東大農)
GAME-Tではタイ、チェンマイ近郊森林(evergreen)、スコタイ近郊水田、スコタイ近郊複雑
植生、マレーシア、パソー熱帯雨林での長期観測、スコタイ付近の様々な森林、マレーシア
サラワク熱帯雨林での短期観測が行われる.
- GAME-T:森林 by 瀧澤英紀(日大)
チェンマイ近郊Kog-Ma演習林内の森林に設置された50mタワーで97年2月スタートの気
象要素を中心とした連続観測と97年2月、5-6月、8-9月の乱流観測を中心とした集中
観測を実施.
高湿度下のシステムの維持の問題.
超音波の通年観測を目指す.
- GAME-T:水田、移動観測 by 千村隆宏・青木正敏(東京農工大)
水田での97年5月末から連続測定開始.
サイト->(携帯電話)->Kasetart Univ.->(e-mail)->
農工大の経路でデータ取得.
メインテナンスはKaserart Univ. Mr Somnimirt氏.
6地点での
日射観測(さらに5地点追加予定).
9月にsecondary forest, Si-Samrong ワタ畑、Om-Koi
レーダーサイト付近での森林(30mタワー設置予定)での移動観測を予定.
- GAME-T:PAM by 大手信人(京大農)
120 m タワーにPAMを年度内2月頃設置予定.
一般のPAMのセンサーに加え、気温、湿度
のプロファイルを取れるようにする.
プロパンガスDC発電使用.
- モンゴル by 宮崎真・安成哲三(筑波大)・開發一郎(広島大)
9月に実施されたLASMOG (large Area Soil Moisture Observation on the Ground) の報告.
60x60km内の土壌水分の分布状態を測定.
サブグリッド内の分布との比較予定.
PAM設
置、連続測定開始.
大きな問題は無かったものの、GMSによるデータ転送は失敗.
原因調
査中.
メインテナンスの相手方への依頼.
- AAN:概況 by 安成哲三・杉田倫明
これまでの経緯の報告と予算(文部省、APN、地球観測フロンティア).
今年度のPAM発注
状況.
- AAN:GMS転送とデータアーカイブ by 鈴木力英・遠藤伸彦(筑波大)
GMS転送の現状(モンゴルでの実験、タイ実施予定・許可済み、チベット、HUBEX,実施予
定.
すべてのGMS利用ステーションで現地気象現業機関から気象庁への設置依頼が電波
の利用許可に加えて必要.
データ配布に関するポリシーについて原案提案.
- AAN:土壌水分測定 by 開發一郎(広島大)
データセットは地域班で作成.
現地キャリブレーションまたは日本で行うために約6リットル
の土壌の持ち帰りが必要.
TDRの機種により若干異なるので注意.
II. 講演
- 地球表面におけるエネルギーフラックスの観測に関する新しい知見 by 大村 纂(東大理)
WCRP BSRN (Baseline Surface Radiation Network) の運用を通じて得られた新たな知見を
中心に、長期測定の問題点等の紹介がなされた.
文献:大村纂: 気候システムにおける放
射の意味 Baseline Surface Radiation Network (WCRP) 発足に寄せて---. 測候時報
64-2, 69-92, 1997.
III. 議論 15:10-17:30
- ステーションデータの収集とカタログ化
運用の始まった各ステーションの場所、地図、センサー、ロガー、期間、キャリブレーション
などのステーション履歴情報などを収集の上カタログとしてまとめる.
記述内容を杉田が原
案としてまとめ、修正後各地域班が作成、AANでGAME国内集会(12月)までにまとめる.
- AAN station としての測定項目・方法への要求
昨年度の会議で決めた内容を満たせない場合が当然あるがどうするか?仕方がない.
最
低限守るべきは長期間継続観測.
第1種、第2種のような形でランクづけをしたステーション
に分けてかんがえる.
- データの公開
- 基本的にはISPで合意されたIOP data の場合に従う.
具体的には、データの取得後1年以
内にLevel 2のデータをGAME内で公開、取得後2年以内にGAINでInternational に公開.
GMSで準リアルタイムに得られるデータは生データと言うよりグラフ化・日報化して速報的に
公開.
これを案として、ISP(?)で承認を受ける.
- 時刻はUT baseにする.
平均値へのタイムスタンプの付け方は、データアーカイブの段階
で統一する.
出席者
小池、熊倉、浅沼 (以上長岡技科大)、塚本(岡山大)、田中、中村、石川(以上京大防災)、千村(東京
農工大)、鈴木(東大農)、大畑、上野(以上滋賀県立大)、兒玉(北大低温)、大村(東大理)、鈴木、安
成、宮崎、杉田、遠藤(以上筑波大)、太田(岩手大)、沼口(東大気候システム)、戸田、大手(京大農)、
高田(環境研)、瀧澤(日大)、富田(JAMSTEC)、桑形(東北農試)、中村(京大工)、美濃林(千葉大)、
伊藤(カイジョー)、開發(広島大)